実店舗スタッフに趣味嗜好のヒアリングを受けて、自分好みの商品を提案され、買うつもりがなかったのについ買ってしまった…なんて経験ありませんか?
ECサイトにこうした流れを作るのが、ウェブ上の接客と言われる『レコメンドエンジン』。今のECサイトやウェブサイトには、一人一人の購買や行動履歴に基づき、ユーザーが望む情報を提供することが必要とされています。
レコメンドエンジンって何?
レコメンドエンジンとは、ECサイトやウェブサイト上の行動情報からユーザーの趣味趣向を分析し、おすすめの商品やコンテンツを表示するシステムです。
ECサイトでよく目にする、「この商品を買った人は◯◯も買っています」と表示する機能のことです。これにより、ユーザーの購買意欲向上やサイトの回遊率を図ります。
3種類のレコメンドエンジンの仕組み
1.協調フィルタリング
最もよく使われている仕組みで、ユーザーの行動履歴を基に商品やコンテンツをおすすめする方法です。「この商品を買った人は◯◯も買っています」といった表示は、この協調フィルタリングを利用しています。
2.コンテンツベースフィルタリング
商品の属性データ(カテゴリー・値段・色など)を使用して、ユーザーの好みに類似した商品を表示する方法です。属性を解析し分類するという手間があるものの、行動履歴がない新規ユーザーに対しても表示できるのが特徴です。
3.ハイブリッドタイプ
協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリングの合わせ技が、このハイブリッドタイプ。リピーターユーザーに対しては“協調フィルタリング”で商品を表示し、新規ユーザーには“コンテンツベースフィルタリング”で商品を表示するといった、ユーザーに応じて最適なレコメンドを行うことができます。
どんなサイトに効果的?
真っ先に思い浮かぶのは、ECサイトです。膨大な商品量のECサイトでは、レコメンドエンジンによってユーザーの趣味嗜好に合った商品を表示することで、リピートユーザーの獲得や客単価・閲覧数の向上が期待できます。
しかし、ECサイトだけではありません。情報サイトや旅行サイトなどといったコンテンツサイトでも、レコメンドエンジンは有効です。例えば、情報サイトでは関連記事を、旅行サイトでは関連ツアーをレコメンドすることで、サイトの離脱を防ぎ滞在時間を高めることができます。
このように、商品・コンテンツが豊富にあるサイトであれば効果を発揮します。また、より効果的なサイトにするためには、あらかじめ商品やコンテンツの量を増やし、データを蓄積しておくことが重要です。
「Amazon」レコメンド技術のサービス化へ
Amazonは2018年、同社のレコメンド技術を外販すると発表しました。Amazonが創業以来、20年以上かけて培ってきた技術を簡単に利用することができるとあって、世の中に大きな衝撃を与えました。
外販するのは、ユーザーにマッチした商品を推薦できる、クラウド経由で使用するAI(人工知能)システム「Amazon Personalize」です。高度な専門技術者がいない会社であっても、このAIシステムを導入すればAmazonと同品質のレコメンドシステムを構築することができます。例えばECサイトでは、ユーザーの購入履歴に応じたおすすめ商品のリスト作成ができるようになるなど、よりパーソナライズすることが可能です。
競争の激しい中、自社サイトのサービス向上を図るため、実績のあるAmazonのノウハウを活かすのも一つではないでしょうか。
機械学習を活用した事例
日本最大級の生涯学習センターである朝日カルチャーセンターは、日本マイクロソフト株式会社の機械学習機能「Azure Machine Learning」(以下 Azure ML)を活用し、受講者の嗜好に合った講座を推薦するシステムを導入しています。蓄積された受講者の閲覧履歴をAzure MLで分析し、最適な講座を発見するとともに、サイト上に講座情報が自動的に表示されるという仕組みです。
コストも他社サービスの10分の1で運用できる上、導入後はサイトの平均滞在時間が約1.4倍に延び、1訪問あたりの講座閲覧数も10%アップしたという結果も出ています。従って、このようなコンテンツサイトにおいても、レコメンドエンジンは効果を発揮することがわかります。
まとめ
これからの時代、よりパーソナライズ化されたサイトでなければ、ユーザーの興味関心を引くことはできません。ユーザーが欲しいものを「すぐに」探し出すことができる質の高いサイトで、早いうちから他社サイトとの差別化を図り、コンバージョン向上に繋げていく必要があります。
良質なWebサイトを作りたいと思っている方は、是非一度Refineにお問い合わせください。