リテンションマーケティング実践編 第3弾の今回は、「Bracket リテンション」に焦点を当て、その重要性と具体的な計測方法について解説します。
Bracket リテンションは、測定間隔をカスタマイズしてリテンションを測定する方法で、プロダクト独自の利用サイクルがある際に非常に有効な手法です。
リテンションマーケティングの中でも、Bracket リテンションはビジネスにとって重要な位置を占めています。
通常のリテンション分析が毎日、毎週、または毎月の期間に限定されるのに対し、Bracket リテンションでは、ユーザーがアクティブであるカスタム期間に分割することができます。これは、ユーザーの利用パターンに合わせて柔軟に設定でき、プロダクトの特性により適切な測定方法を提供します。
解約率を確認する際に効果的な手法の「Unboundedリテンション」については過去記事をご覧ください。
Bracket リテンションの意義
利用が1週間、1ヶ月、1日単位で切り分けられない製品やサービスにおいて、Bracket リテンションはその真価を発揮します。
通常のリテンション分析では、アクティブなユーザーの追跡や計測が特定の期間(毎日、毎週、または毎月)に制限されています。例えば、N日リテンションでは、初回利用後のN日目に戻ってきたユーザーの割合を測定します。
しかし、このような方法では、特定の日付や期間に集中してしまい、ユーザーの利用パターンや特定のイベントに対するリテンションしか見ることができません。
一方で、Bracket リテンションでは、ユーザーがアクティブであるカスタム期間に分割してリテンションを測定できます。これは、事前に定めた期間よりも柔軟に、ユーザーがアクティブであると見なされる時間を設定できるという意味です。
例えば、3週間ごとに製品を利用する製品を提供する場合、その3週間ごとの期間を「Bracket」として設定し、ユーザーがその期間内に戻ってきたかどうかを測定します。
Bracket リテンションは、プロダクトやサービスの特性に合わせて、より柔軟かつリアルなリテンションデータを取得することができる手法です。
実践例:Pinterestの「1d7」
具体的な実践例として、Pinterest(ピンタレスト)を見てみましょう。
Pinterestは、画像や動画を共有し、興味や趣味に基づいてインタラクティブなデジタルボードを作成できるソーシャルメディアプラットフォームです。ユーザーは「ピン」と呼ばれる画像や動画をボードに保存し、他のユーザーと共有することができ、アイデアの発見やショッピング、DIYプロジェクトのアイデアなどに利用されています。
Pinterestでは「1d7」と呼ばれる独自の Bracketリテンションを採用しています。これは、初回ユーザー登録後から1日目〜7日目の間でリテンションを確認する方法であり、その後に28日目〜35日目のリテンションに焦点を当てています。
これにより、Pinterestは異なる時間帯におけるユーザーのリテンションを網羅的に把握し、ビジネス戦略に活かしています。
Bracketリテンションが最適な製品は?
Bracket リテンションの考え方を理解するために、オンデマンド・デリバリーサービスを例に挙げてみましょう。このサービスでは、毎日利用することを期待されているわけではありません。従って、通常のN-Dayリテンションよりも、Bracket リテンションを使うことが適しています。
N-Dayリテンションでは、特定の日に戻ってきたユーザーを測定します。しかし、デリバリーサービスのような製品では、ユーザーが毎日利用することは少ないでしょう。そこで、Bracket リテンションを導入すると、より柔軟にユーザーのアクティビティを計測できます。
例えば、3週間ごとに商品を利用するユーザーがいる場合、この3週間を1つの「Bracket(区間)」とみなします。そして、この期間内にユーザーが商品を買いに戻ってくるかどうかを確認します。この方法を使うことで、特定の日付にとらわれず、ユーザーがアクティブである特定の期間を設定でき、リアルな利用データを取得できるのです。
まとめ
今回の解説を通じて、Bracket リテンションがビジネスに与える価値とその計測方法について理解しました。リテンションマーケティングにおいて、正確な計測が成功の鍵であることを再確認し、目的に合わせたリテンション手法の選定がビジネスの成果に直結することを認識しましょう。
今回までリテンションマーケティングの手法を紹介してきました。次回はユーザーごとにアプローチするリテンションマーケティングをご紹介していきます。お楽しみに!
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