リテンション分析は、ユーザーがサービスや製品を継続的に利用し続けているかを計測して分析し、改善するための手法です。一般的にユーザー全体のリテンション率を分析することが多いですが、今回は全体のユーザーを行動別のペルソナに分けてリテンション分析することの重要性について解説していきます。
細分化したリテンション分析により、どのユーザー層が最もコアに利用しているのかや、改善ポイント等が浮かび上がってきます。
Amplitudeを使用したリテンション分析方法については過去記事をご覧ください。
実例:モバイルゲーム
実例: モバイルゲーム
今回紹介する事例は、スマートフォン向けのソーシャルゲームを提供している会社の事例です。
このゲームは、プレイヤーをリアルタイムでマッチングする機能があります。また、通話型のチャット機能も備えており、異なる行動パターンを持つプレイヤーたちが集まるのが特徴です。
コアペルソナの特定
ユーザーが現行ユーザーを分析した結果、高いリテンションを示す3つのコアペルソナが浮かび上がりました。
1. High social only(主にチャット機能)
通話などのチャット機能を積極的に使用しますが、ゲームをあまりプレイしません。
2. High gameplay only(主にゲームプレイ)
主にゲームをプレイしますが、通話などのチャット機能はあまり使用しません。
3. High gameplay + High social(チャット機能&ゲーム)
積極的にゲームをプレイし、通話などのチャット機能も積極的に活用します。
それぞれのリテンション率
各ペルソナが示すリテンション率を比較すると、興味深い傾向が浮かび上がります。
これらのペルソナは全ユーザーのリテンションよりも明らかに高いリテンションを示しています。その中でも「High gameplay + High social」のペルソナが最も高いリテンションだということが見て取れます。
この高いリテンション率は、ゲームプレイとチャット機能の双方を活用するユーザーが、モバイルゲームに満足し、長期間にわたってプレイし続けていることを示唆しています。
洞察と戦略の結びつき
このデータから導き出される洞察は、ゲームを積極的にプレイするか、ソーシャル機能を使用するかに関わらず、両方の行動を示すユーザーが最も高いリテンションを有していることです。この洞察に基づき、よりサービスを成長させるためのアプローチが考えられます。
まず第一に、「High gameplay + High social」のペルソナが最も高いリテンションを示していることから、製品の開発やマーケティングにおいて、両方の要素に焦点を当てることが重要です。新しいゲーム要素の追加や、チャット機能の向上など、両方の側面に対するユーザーエンゲージメントを促進する施策が有効です。
次に、チャット機能をあまり使用せずに主にゲームプレイに重点を置く「High gameplay only」のペルソナも高いリテンションを有しています。このセグメントに焦点を当てることで、ゲームプレイの面での更なる魅力の提供や、新しいレベルや機能の導入によってリテンションを向上させる機会があります。
最後に、「High social only」のペルソナも注目に値します。チャット機能を重点的に利用するユーザー層に対しては、より魅力的なコミュニケーションツールや特別なイベントの提供など、チャット要素をさらに強化することで、リテンションを一層向上させることが期待できます。
まとめ
この事例から学ぶべき重要な点は、ユーザーペルソナの分析が成功に不可欠であるということです。異なるプレイヤータイプを理解し、それに基づいて製品戦略を展開することで、ビジネスは持続的な成功を収めることができるのです。ゲーム業界においても、ユーザーとの深い理解がヒット作を生み出す鍵となっています。
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