FacebookやYoutubeのスマホアプリが動画広告に対応したことで
デスクトップからの動画視聴からスマホで動画を試聴するデバイスの変化が起きています。
また、多くの企業がプロモーションとして動画作成に力をいれています。
ECサイトではこの動画を取り込んだサイトは少ないです。
実際にどのようにCVRのUPへつながっているのか、どのように動画を活用しているのか、海外の事例も交えてみていきます。
目次
米国アパレル系ネット通販サイトを運営する『Zappos』は動画によりCVRがUP
2010年”Streaming Media West”で、米国アパレル系ネット通販サイトを運営する『Zappos』のコンテンツチームのシニアマネージャーRico Nasol氏が語った「コマース業界で動画がいかに重要であるか」というインタビューでは、
Zapposでの商品動画に対する取り組みと、動画がもたらした効果について語っています。
http://www.zappos.com/
動画効果については、動画導入により売上は平均で20~40%UP
簡単な説明動画がある商品のコンバージョンは、動画がない商品に比べて6%~30%高い
返品率の改善。動画導入前より返品率が24%減少。
といった効果を語っています。
動画の使用事例
アパレルブランドは、360度動画を活用したり、ストーリー仕立てにした動画を作成。商品が動くことでより商品の質感をより顧客にPRできます。
また、製品制作過程を動画で紹介することで、高価格商品でもその価値に見合ったものであるという説得力が生まれます。
道具の使用方法や、家具の組み立て方法といった購入後のフォローをする動画を作成することで購入へとつなげています。
国内大手アパレルブランド ナノ・ユニバース
ナノ・ユニバースは2013年に“フローズンタイム”という撮影技法用いたWEBカタログを発表しました。
被写体を瞬間的に止めて撮影する特殊な手法です。
この“フローズンタイム”を、WEBカタログの手法に取り入れているのは、アパレル業界初の試みで、既存の枠にとどまることなく、新しい世界観を追求している同社ならではの取り組みです。
再生中に映像をクリックすると、映像は一時停止。さらに停止した画像に現れる「+」をクリックすると、アイテムの販売ページへのリンクや発売時期などの商品詳細を見ることができます。
モバイルデバイスからの動画視聴は増加傾向
2014年から2015年は150%増加
すべての動画再生のうち、モバイルデバイスからの動画視聴は45%を占めています。2015年には初めてモバイルがデスクトップを抜いたことも判明しています。
デスクトップからの動画視聴が前年比25%にとどまったことからも、モバイルからの視聴が急激に増えていることが分かります。
これだけの増加率は、Eコマースの分野でもモバイル対策が必須になっていることの表れでしょう。
モバイルならではの特性を考慮した動画施策に着手するべき時と言えそうです。
(参考記事:モバイル向け動画マーケティングを始める際に知っておくべきコンテンツ企画の基本と配信の最適化)
今や動画視聴が購買意向を大きく高める
非動画視聴者と比較すると、動画を視聴した人の方が、全体平均で1.68倍も購入率が高かったそうです。
購入促進効果に関し、デバイスによる差はそれほど大きくありません。しかし、実際に購入手続きを行っているデバイスはパソコンが最多で、モバイルはそれを大きく下回っています。
そのため、ECサイト運営側はモバイルで動画を視聴し、関心を持った人が簡単に購入や問い合わせなどの行動を起こせるよう、
モバイルでの購入操作性向上やコンバージョンポイントへの導線を確保することがCVRを高める上でのポイントであるといえます。
もっともエンゲージメントが高いのは16〜30秒の動画
企業が配信している商品動画でもっとも多いのが31〜60秒の動画とのことですが、
完全視聴率(≒エンゲージメント)が高かったのは16〜30秒の動画尺であることが明らかとなりました(注:本レポートでは、動画尺の80%以上まで視聴された場合を完全視聴率として計測しています)。
また、一般論では動画は短尺な方が良いとされていますが、本レポートでは1〜15秒の短尺動画の完全視聴率は54%という低い結果が出ています。
モバイルデバイスからの視聴も考慮すると、やはり長尺動画は避けるべきですが、
商品動画というジャンルにおいては、商品の特徴やベネフィットを伝えるには15秒では足りないケースも多いに考えられます。
訴求すべきポイントを過不足なく盛り込んだ上で、無駄のないコンパクトな動画にまとめる意識が大切だと言えるでしょう。
動画の評価が高いほど購入意向も向上
動画がどれほど視聴者にとって有用だったかを5点満点で評価してもらったアンケート調査では、全体平均は4.2点で、58%の動画が5点満点と評価されました。
また動画に対する評価とその後の購買行動に相関関係が見られ、4点以上を獲得している動画は、購入率(動画を視聴した人のうち、実際に購入した人の割合)が3点以下の動画よりも2倍以上高くなっていました。
今や誰でも簡単に動画を撮影・配信できる時代ですが、購入率を高めるためには、やはり動画の質を高める努力が求められます。
また、Facebookはユーザーのニュースフィードに表示するコンテンツの順位を決めるアルゴリズムに関するアップデートを発表。
今後は動画の「視聴維持率」を評価対象に加え、長尺動画を重視する方針を明らかにしました。
動画視聴が購入率向上に有効なのは前述の結果から明らかですが、そもそも視聴されなければ意味がありません。
ECサイトや商品紹介ページにただ動画を掲載するのではなく、動画視聴を促す工夫が必要となります。
とくに、クリックして動く動画ではなく、自動再生動画であることが動画を活用する上で大切です。
360度動画で商品をより魅力的により身近に
動画の種類で最近増えてきているのが360度動画です。
FacebookやYoutubeのスマホアプリが360度動画に次々と対応し、スマホユーザーでも楽しめるようになり新しいPR方法として注目されています。
360度動画とは、視聴者が視点を上下左右に移動させることで、360度自由に視聴することができる動画です。自分の視点を中心に動画を閲覧することができるため、まるで自分がその場にいるような感覚や臨場感が味わえるということで話題になっています。
360度動画商品を好きな角度から見れるので商品の返品率改善にも効果が見込めます。
また、車や釣り道具といった「使用感」をアピールしたい商品は使用感をイメージさせることで購買へとつなげる狙いがあります。
アウトドアブランドsnowpeakでは、野遊びをコンセプトに360度動画を活用した興味深いプロモーションを展開しています。「NOASOBI360°」と題した特設サイトで、様々な360度動画を見ることができます。
https://store.snowpeak.co.jp/sp/noasobi360/
TOYOTAは国内企業の中でも早くから、積極的に360度動画を活用しています。新型ハリアーのキャンペーン特設サイトでは、360動画を使い、
ハリアーの車内はもちろん、様々なシーンをハリアーとともに体験することができるようになっています。従来の動画では伝えにくい臨場感や空気感を、360度動画を活用することで上手く表現しています。
http://toyota.jp/harrier/cp/hh360/
NIKEは、360度動画を活用することでサッカーシューズの高い敏捷性を表現しています。ブラジル代表のスター選手ネイマールの視点で、沢山のディフェンダーを鋭いステップでかわし、ゴールするまでが描かれています。
このシューズを着用すればスター選手のような動きが可能になる、そんなベネフィットを上手く訴求している動画事例です。
まとめ
ECサイトでの動画活用は国内ではまだ多くはありません。
ですが、広告業界や教育業界などをはじめ、「動画」を積極的に取り入れています。
だからこそ、ECサイトにおいて動画を今から活用しておけば、競合競争力を持つこと、また他社との差別化ができます。
海外では先述のとおり動画活用により効果がでている会社があります。
動画を用いることで商品理解を促してくれるECサイトにはエンドユーザからの評価も集まりますし、リピーターの醸成にも繋がります。